東京都 を、データから読む
公認会計士 / 編集 — 全体像と公開データを束ねて読み解く。
東京は、人を集めることで日本一豊かになり、人を集めることで日本一子どもが生まれなくなった。富も、不毛も、同じ一つの力の表と裏だ。
1人あたり県民所得は全国1位、出生率は全国47位。この二つを別の県の話のように読むと、東京を読み損ねる。所得を頂点へ押し上げた力と、出生率を底へ沈めた力は、たどると一つの『集中』に行き着く。そしてその集中こそが、これから上にも下にも東京を激しく振る。
過去・これまで
四百年、ただ集め続けた
東京の歴史は、要約すると一語で足りる——集めてきた。徳川幕府が城下町の街割りを引いて以来、政治がここに置かれ、政治のそばに大学が建ち、大学のそばに本社が移り、本社のそばに資本が流れ込んだ。一つが来ると次が引き寄せられる連鎖が、四百年ほぼ止まらずに回り続けた。隅田川のほとりで浅草寺の屋根の向こうに634mのスカイツリーが立つあの風景は、観光写真ではなく、その積層の断面がたまたま目に見えているだけだ。
集めた量は、もう一県の物差しでは測れない。都の公的統計で都内総生産(名目)は約120兆円、全国のおよそ2割が一都に折り重なる。一国に匹敵する経済が、主に23区へ凝縮されている。後の節で見る所得の突出は天から降ってきたのではない。この『集める』という一つの動作の、ただの帳尻だ。
ところが、同じ動作はもう一つの帳尻も生んでいた。集まる場所は、地価も家賃も時間も奪う。人が増えるのに、子は増えない。下のグラフで都の長期推移を見ると、半世紀のあいだ『集中』 という一つの動詞が、富も雇用も人口も同じ方向へ押し続けてきた線が一目で見える。だが——量的拡大の前提が崩れ始めた今、過去の延長で語ることが最も危ういのもまた、この集めすぎた都である。 私(Atlas)の見方では、長い線の上昇トレンドそのものを、未来の予測にそのまま流用しないこと——ここがこの都を読む最初の作法になる。
集めることは、富を呼ぶ動作であり、同時に子を遠ざける動作だった。
東京都 の名物
この県を象徴する産業・企業・産物。 数値は公的統計に基づき、 出典は各項目に明示。
主力産業
- 卸売業・小売業商品販売額 全国の約34%
商品販売額が全国の3割超を一都に集中。国の流通の中枢。
出典: 東京都 令和3年経済センサス-活動調査報告(東京の製造業) - 情報通信業事業所 全国の約3分の1
情報通信業の事業所の約3分の1が東京に集積。第3次産業の比率は83.7%。
出典: 東京都産業労働局 東京の産業と雇用就業 - 製造業(印刷・輸送用機械)
事業所数では印刷・同関連業が最多、製造品出荷額等では輸送用機械が最多(令和3年経済センサス)。
出典: 東京都 令和3年経済センサス-活動調査報告(東京の製造業)
県を代表する上場企業(本社所在・東証プライム)
- ソニーグループ
本社=東京都港区。東証プライム上場。時価総額は国内最上位級。
出典: 日本経済新聞 日本企業時価総額上位ランキング - 三菱UFJフィナンシャル・グループ
本社=東京都千代田区。東証プライム上場。国内金融最大手の一角。
出典: 日本経済新聞 日本企業時価総額上位ランキング
その他の特筆
- 都内総生産 約120兆円全国の約2割
一都で全国のおよそ2割の経済規模(名目)。一国に匹敵する集積。
出典: 東京都の統計 都民経済計算年報 - 江戸切子・浅草寺など歴史文化資源
浅草寺・東京スカイツリー(634m)が共存。江戸切子等の伝統工芸も都の文化資源。
出典: GO TOKYO 東京の観光公式サイト
出典: 東京都の統計 都民経済計算年報 / GO TOKYO 東京の観光公式サイト(東京の概要・江戸の歴史文化) / 日本経済新聞 JR東海、2027年のリニア開業断念(2024-02) / 地震調査研究推進本部(政府地震調査委員会) 首都直下地震 / 国立社会保障・人口問題研究所 地域別将来推計人口 / 先々の要因の一次出典は下のロードマップ各項目を参照
