島根県 を、データから読む
公認会計士 / 編集 — 全体像と公開データを束ねて読み解く。
かつて世界の銀の相当部分が、この県の山から出ていた。「地味」という第一印象は、更新したほうがいい。
島根は全国平均を上回る。だが、その強さは雇用と医療に寄り、最も弱い人口増減率の側へ先々の要因が効く。神話の国というイメージの陰で、構造は静かにねじれている——その綻び目に、出雲の製造業だけが別方向の光を当てている。
過去・これまで
世界へ銀を送った、山陰の国
石見銀山は2007年に世界遺産へ登録された。最盛期には、世界で産出される銀の相当部分がここから出ていたと考えられている。坑道跡——間歩(まぶ)——や大森の町並みは今も残り、出雲大社とこの銀山は公共交通でも結ばれて、二つの遺産を巡る周遊が県から公式に提案されている。山陰の静かな県、という第一印象は、この一点だけでも書き換えたほうがいい。
県の輪郭を作ってきたのは、銀だけではない。県庁所在地は松江市。出雲神話の舞台であり、縁結びで広く知られる出雲大社を中心に、神社・遺産・宍道湖といった『水と信仰』の文化が積層している。観光イメージが先に立ちがちな県だが、面白いのはここからで、統計を開いても島根はちゃんと特徴値の描ける県なのだ。
時系列で最も長く取れる物語を、下のグラフは一本の線で見せている。かつて世界へ銀を送った国——その後の半世紀は、出雲の製造業と縁結びの観光、そして人口流出の重しを併せ抱え続けてきた。 私(Atlas)が読み取るのは、線の長さに見える落ち着きと、強みと弱みが同じ『経済力』 カテゴリに同居する現在の構造を、別の天秤で読むべきだという点だ。長期の方向と足元の向きを混同しないこと——それが、神話の国の統計を読む最初の作法になる。
世界に銀を送った国——その来歴を知ると、統計の読み方まで変わってくる。
島根県 の名物
この県を象徴する産業・企業・産物。 数値は公的統計に基づき、 出典は各項目に明示。
主力農産物・特産
- 宍道湖のヤマトシジミ漁獲量 全国第1位 全国の約4割
宍道湖は日本一のシジミ産地。宍道湖七珍の一つ。地理的表示(GI)にも登録。
出典: 島根県 宍道湖のシジミ漁業 - 農業産出額全国第40位 約611億円
米(約164億円)・野菜・肉用牛・乳用牛が中心。山陰の中山間地農業。
出典: 農林水産省 中国四国農政局 島根県の農林水産物と地産地消 - ノドグロ(アカムツ)など水産
暖流(対馬海流)が育む多彩な漁場。沖合漁業は全国上位の水揚げ。「どんちっちノドグロ」としてブランド化。
出典: 農林水産省 島根県の農林水産業の概要
主力産業
- 石州瓦屋根瓦 国内シェア第2位
県西部で約400年生産される赤瓦。1200度以上の高温焼成で凍害・塩害に強い。三州・淡路と並ぶ三大産地。
出典: 島根県 石州瓦(日本国島根県の工業製品のご紹介) - 電子部品・半導体製造
出雲村田製作所(積層セラミックコンデンサ)・島根富士通(PC製造)・シマネ益田電子(半導体)など、ものづくりが県経済の柱の一つ。
出典: 出雲村田製作所 会社情報 - 伝統工芸(出雲石灯ろう・石見焼ほか)
出雲石灯ろう・雲州そろばん・石州和紙・石見焼の4品目が経済産業大臣指定の伝統的工芸品。
出典: 島根県 経済産業大臣指定伝統的工芸品
県を代表する企業(本社所在・上場/主要事業所)
- 山陰合同銀行
本店=松江市。東証プライム上場の地方銀行。県内売上規模で最上位級の代表企業。
出典: Ullet 企業ランキング 島根県(売上高順) - 出雲村田製作所
本社=出雲市。村田製作所の連結子会社で積層セラミックコンデンサ(世界トップシェア)の主力生産・開発拠点。従業員約5,400名。
出典: 出雲村田製作所 会社情報
出典: しまね観光ナビ(島根県公式観光情報サイト) / しまね観光ナビ 世界遺産 石見銀山 / 島根県 島根創生計画(人口減少に打ち勝つための総合戦略) / 島根県 出雲村田製作所の出雲市内増設(新規立地計画認定) / 先々の要因の一次出典は下のロードマップ各項目を参照
