この町の駅で、北海道の二つの大きな鉄道の幹線が分かれる。一方は内陸へ、一方は海沿いへ。だからこの町は、昭和の世「鉄道の町」と呼ばれて栄えた。乗り換えの旅人は、この駅で蟹の飯を買った。そしていま、海の底を抜いて延びてくる新幹線が、再びこの町に駅を予定している。二つの幹線が分かれる結節点という、地図の上の役割を知らずに、この町の数字は読めない。長万部町の数字は、二つの幹線が分かれる鉄道の結節点という来歴が刻まれた町の記録だ。
北海道の渡島半島の付け根、内浦湾に面する町。この町の駅で、北海道の二つの大きな鉄道の幹線が分かれる ── 一方は内陸の都市へ、一方は海沿いの工業地帯へ。昭和の世、この町は「鉄道の町」として栄え、乗り換えの旅人は駅で蟹の飯を買った。そしていま、北海道へ延びてくる新幹線が、再びこの町に駅を予定している。人口は二〇〇〇年の 8,032 人から二〇二〇年の 5,109 人へと、二〇年で三割を超えて減ってきた。私 (Atlas) がここで読みたいのは「蟹の町」という記号ではなく、二つの幹線が分かれる結節点という来歴が、現在の人口や地価にどう翻訳されているか、という因果の筋道だ。
01 · いまの長万部町を、数字で見る
直近の国勢調査で人口は約五千百人 (二〇二〇年 5,109 人)。二〇〇〇年の 8,032 人から二〇年で三割を超えて減り、六五歳以上の割合は二〇〇〇年の 27.9% から二〇二〇年の 40.9% へと上がった。鉄道の結節点として栄えた町が、その役割の変化とともに人口を減らしてきた。
住宅地の公示地価は一㎡あたり五千七百円ほどと、本バッチの八件のなかで最も低い。商業地は一万四千円台だ。財政力指数は二〇二三年度に 0.22。小学校は二〇〇〇年の七校から二〇二三年には一校へと、大きく統廃合された。鉄道の結節点という固有の役割を持つ町が、なぜこの数字に至ったのかは、二つの幹線が分かれる結節点という来歴を遡らないと読めない。
02 · 渡島半島の付け根・二つの幹線の分岐・特急の蟹の飯 — 数字の背後にある来歴
長万部を据えているのは、渡島半島の付け根という位置と、そこで二つの大きな鉄道の幹線が分かれる結節点という役割、そして乗り換えの旅人が買った蟹の飯だ。始まりの層は、位置である。渡島半島の付け根、内浦湾に面したこの町は、北海道の南部から内陸と海沿いの双方へ向かう、交通の要の地にあった。鉄道の時代、この町の駅で、北海道の二つの大きな幹線が分かれた。一方は内陸の都市へ、一方は海沿いの工業地帯へと延びる。
二つの幹線が分かれるということは、ここで多くの旅人が乗り換える、ということだ。昭和の世、この町は「鉄道の町」と呼ばれて栄えた。鉄道に関わる人々が住み、列車を待つ旅人で駅は賑わった。その旅人を目当てに、内浦湾で獲れる蟹を使った飯が、駅で、そして特急の車内で売られ、町の名物となった。鉄道の結節点であることが、この町に人と賑わいをもたらした。そしていま、海の底を抜いて北海道へ延びてくる新幹線が、再びこの町に駅を予定している。二つの幹線が分かれる結節点という役割が、町に賑わいと名物を与えてきた ── 長万部の現在は、その役割の変化の途上にある。
出典: 長万部駅 (昭和初期に「鉄道の町」として栄え、長万部駅で函館本線から室蘭本線が分岐する鉄道の結節点・特急「北斗」が停まり新函館北斗で新幹線に接続 概説) / 長万部町 (渡島半島の付け根・内浦湾に面す・毛ガニの産地で特急で供された「かにめし」が名物・長万部温泉・北海道新幹線の延伸で将来 新幹線駅が予定 概説)
03 · 鉄道の町でも、子どもが減れば学校は一校になる
「鉄道の町」として栄えたこの町でも、子の数の減少という流れは、生活インフラの数に厳しく現れる。長万部町の小学校は二〇〇〇年の七校から、二〇二三年には一校へと統廃合された。児童数は二〇〇〇年の 406 人から二〇二三年には 163 人へと減っている。鉄道で賑わった町の記憶と、いま町に暮らす子どもの数とは、別の指標として動く、ということだ。
保育の利用定員は二〇二四年・二〇二五年とも 60 人で、待機児童は両年ともゼロだ。子育て世帯の割合は二〇二〇年で 11.1% と低い部類にある。粗出生率は二〇二〇年で約 4.5。二つの幹線が分かれる結節点という固有の役割を持ち、将来 新幹線の駅を予定する町であっても、子の数そのものが細るという、道内の小さな町に共通する流れの中にある。鉄道の賑わいと、そこで子を育て続ける町とは、必ずしも重ならない。
出典: 文部科学省 学校基本調査 (e-Stat 社会・人口統計体系) / こども家庭庁 保育所等関連状況取りまとめ / 総務省 国勢調査
04 · 二つの幹線が分かれ、再び新幹線を待つ町
長万部には、鉄道がその来歴を刻んでいる。一つは、渡島半島の付け根で、北海道の二つの大きな鉄道の幹線が分かれる結節点である、という性格だ。もう一つが、その役割ゆえに「鉄道の町」として栄え、いままた海底を抜けて延びる新幹線の駅を予定している、という地理だ。二つの幹線が分かれるという役割が、この町に賑わいと名物を与え、いままた新幹線という新しい役割を呼び込もうとしている。
ただし、鉄道の結節点という役割は、人と物が「通り過ぎる」場であることをも意味する。乗り換えの旅人は、この町で列車を待つが、向かう先は別の都市だ。二つの幹線が分かれる結節点として栄えた町は、その役割の変化とともに人口を減らし、いま新幹線という次の役割を待っている。
出典: 長万部駅 (昭和初期に「鉄道の町」として栄え、長万部駅で函館本線から室蘭本線が分岐する鉄道の結節点・特急「北斗」が停まり新函館北斗で新幹線に接続 概説) / 長万部町 (渡島半島の付け根・内浦湾に面す・毛ガニの産地で特急で供された「かにめし」が名物・長万部温泉・北海道新幹線の延伸で将来 新幹線駅が予定 概説)
05 · Atlas メモ — 乗り換えの役割に、はじめから盛衰を握られた町
長万部の数字を並べると、三割を超える人口減・高齢化率 40.9%・地価五千七百円・財政力 0.22・七校から一校への統廃合と、渡島の小さな町らしい指標が並ぶ。だが私 (Atlas) が公認会計士として一つの事業の盛衰を追う癖で言えば、ここでまず読みたいのは、この町が「北海道の二つの大きな鉄道の幹線が分かれる結節点」である、という来歴だ。渡島半島の付け根という位置が、内陸へ向かう幹線と、海沿いへ向かう幹線の分岐をこの町に置いた。二つの幹線が分かれるということは、ここで多くの旅人が乗り換えるということであり、それが昭和の「鉄道の町」の賑わいと、駅で売る蟹の飯という名物を生んだ。一つの町の盛衰は、しばしば、それが鉄道網の中で担う役割の変化と結びついている。
もう一つ考えたいのは、地価五千七百円という、本バッチで最も低い数字だ。私の見方では、この低さは、鉄道の結節点としての役割が変化し、賑わいが薄れたことの帰結として読める。だが同時に、海底を抜けて延びる新幹線が、再びこの町に駅を予定している。結節点という役割が、鉄道の時代から新幹線の時代へと受け継がれるなら、この町の意味は、もう一度書き換わるかもしれない。特急の蟹飯で知られた町が、二つの幹線の分岐から新幹線の駅へと役割を継げるかどうかは、まだ誰にも分からない。昭和の旅人が乗り換えのために降りた同じ駅に、いまは新幹線の到来が待たれている ── この町の盛衰は、はじめから駅という乗り換えの役割に握られてきた。
出典: 総務省 国勢調査 / 長万部駅 (昭和初期に「鉄道の町」として栄え、長万部駅で函館本線から室蘭本線が分岐する鉄道の結節点・特急「北斗」が停まり新函館北斗で新幹線に接続 概説) / 長万部町 (渡島半島の付け根・内浦湾に面す・毛ガニの産地で特急で供された「かにめし」が名物・長万部温泉・北海道新幹線の延伸で将来 新幹線駅が予定 概説)
編集メモ: 数値・出典はすべて公的統計が由来です。 文体は Atlas の語り口に揃え、 AI (atlas-handcrafted-reverse-v1 (wave29-east 2026-06-04)) が文章の整え方を担当しています。 評価語・予測語 (「狙い目」「魅力的」 等) は意図的に載せていません。 改訂識別子: w29e_24f




