この街の海辺では、江戸の頃から紙が漉かれてきた。水引も、書道の半紙も、薄い不織布も、この地から世に出ていく。紙の製品の出荷の額は、全国でも一番を長く続ける。海と山に挟まれた狭い平地に、二つの港町が紙を漉き継いできた。平成の世、その二つの町は、四国の真ん中という願いを名に束ねて発足し、いまは静かに人口を減らしてきた。四国中央市の数字は、全国一の紙と州都の名という来歴が刻まれた街の記録だ。
愛媛県の東端、北は瀬戸内の海に、南は山脈に挟まれた狭い平地に開ける市。この市は二〇〇四年、紙を漉き継いできた二つの市と二つの町村が新たに一つに束ねられて発足したため、統計は市の発足後の二〇〇五年以降を扱う。人口は二〇〇五年の 92,854 人から二〇二〇年の 82,754 人へと、減ってきた。私 (Atlas) がここで読みたいのは「四国の真ん中」 という記号ではなく、全国一の紙と州都の名という来歴が、現在の人口や財政にどう翻訳されているか、という因果の筋道だ。
01 · いまの四国中央市を、数字で見る
直近の国勢調査で人口は約八万三千人 (二〇二〇年 82,754 人)。この市は二〇〇四年、紙を漉き継いできた二つの市と二つの町村が新たに一つに束ねられて発足したため、市としての人口の統計は、発足後の二〇〇五年以降を扱う。その二〇〇五年の 92,854 人から、二〇一〇年の 90,187 人、二〇一五年の 87,413 人、二〇二〇年の 82,754 人へと、減ってきた。
中身を見ると、紙を漉き継ぐ海辺の市の姿が出る。六五歳以上の割合は二〇〇五年の 23.6% から二〇二〇年の 32.2% へと、一五年で九ポイントほど上がり、三割を超えた。子育て世帯の割合は二〇二〇年で 17.3%、保育の待機児童は二〇二四年・二〇二五年ともゼロ。財政力指数は二〇二三年度に 0.72 と、自前の税収で歳出の七割あまりを賄える、中位より上の水準にある。紙の製品の出荷の額が全国でも一番を続ける市が、合併ののち人口を減らしながら高齢化を進める姿が数字に出ている。なぜこの形なのかは、紙と港町と合併の来歴を遡らないと読めない。
出典: 総務省 国勢調査 / 総務省 地方財政状況調査 (財政力指数) / こども家庭庁 保育所等関連状況取りまとめ / 国土交通省 不動産情報ライブラリ
02 · 海と山に挟まれた狭い平地・江戸からの紙漉き・全国一の紙の出荷・州都の願いの名・二市二町村の合併 — 数字の背後にある来歴
この街の骨格は、海と山に挟まれた狭い平地という地形と、江戸の頃から続く紙漉き、全国一を続ける紙の出荷、州都の願いを込めた市の名、そして二つの市と二つの町村の合併によって据えられている。始まりの層は、紙である。北は瀬戸内の海に、南は山脈に挟まれた狭い平地のこの地で、江戸の頃から紙が漉かれてきた。水引も、書道の半紙も、薄い不織布も、この地から世に出ていき、紙の製品の出荷の額は、全国でも一番を長く続けてきた。紙を漉き継ぐ生業が、この地の土台であった。
この紙の地に、州都の願いを込めた名が重なった。市となった道のりも、この街を映す。二〇〇四年、紙を漉き継いできた二つの港町と二つの町村は、新たに一つに束ねられて発足した。新しい市の名には、将来 国の仕組みが変わったときに四国の中心となることを目指す願いが込められ、香川・徳島・高知の県境に近い地理にも拠っている。海と山に挟まれた狭い平地と、江戸からの紙漉き、全国一の紙の出荷、州都の願いの名、そして二市二町村の合併 ── この街の形は、海と山に挟まれた狭い平地が抱えた、紙漉きの来歴の上に立っている。
出典: 四国中央市/紙のまち (江戸期から製紙が盛んで紙製品の出荷額は全国一を長く続ける・水引/書道半紙/不織布など多様な紙製品を産し大手製紙企業が本社を置く 概説) / 四国中央市/市名の由来 (将来 道州制が導入された際に州都となることを目指して採られた市名・香川/徳島/高知の他3県の境に近い地理にも拠る 概説) / 四国中央市 (2004-4-1 川之江市/伊予三島市/宇摩郡土居町/新宮村が新設合併して発足・愛媛県東端で北は燧灘〔瀬戸内海〕、南は法皇山脈・川之江は港町として栄えた 概説)
03 · 紙を漉き継ぐ海辺で、合併ののち人口を減らし高齢化を進める
四国中央市の特徴は、全国一の紙という来歴を抱えながら、合併ののち人口を減らし、高齢化を進めている点にある。市が発足した二〇〇五年の 92,854 人から二〇二〇年の 82,754 人まで、一五年で一万人ほどが減った。紙の製品の出荷の額が全国でも一番を続けるこの地でも、若い世代の一部がより大きな都市や瀬戸内の対岸の方へ移り、街全体の年齢が上がってきたと読める。六五歳以上の割合が二〇二〇年で 32.2% と三割を超えたことは、その表れだ。
その一方で、保育の待機児童は二〇二四年・二〇二五年ともゼロで、子育て世帯の割合は二〇二〇年で 17.3%。財政力指数 0.72 は、自前の税収で歳出の七割あまりを賄える水準で、中位より上にある。紙を漉き継ぐ事業所と、それに連なる製造の生業の厚みが、税源を中位より上に支えていると読める。紙を漉き継ぐ海辺の市は、いまは合併ののち人口を減らしながら、高齢化を進めている。人口は合併後に減り、高齢化は 32.2% で三割を越え、財政力 0.72 は中位より上にある。紙の出荷で全国一を続ける海辺の市が、それでも人口を減らしてきた歩みが、これらの数字に出ている。
04 · 北の海と南の山脈にはさまれた、紙の細長い平地
四国中央市の生業は、海と山にはさまれた狭い平地が積み上げた紙の厚みでできている。一つは、北は瀬戸内の海に、南は山脈に挟まれた狭い平地で、江戸の頃から紙が漉かれ、水引も書道の半紙も薄い不織布も世に出して、紙の製品の出荷の額が全国でも一番を続ける、紙を漉き継ぐ地という出自だ。もう一つが、二つの港町と二つの町村が、四国の中心となる願いを込めた市の名に束ねられた性格である。
北は瀬戸内の海、南は山脈に挟まれた愛媛県東端の狭い平地が、江戸からの紙漉きを据え、近代の製紙へと連なった。香川・徳島・高知の県境に近い位置ゆえに、四国の中心となる願いまで市の名に呼び込んだ。水引も、書道の半紙も、薄い不織布も、いまもこの狭い平地から世に出ていく。
出典: 四国中央市/紙のまち (江戸期から製紙が盛んで紙製品の出荷額は全国一を長く続ける・水引/書道半紙/不織布など多様な紙製品を産し大手製紙企業が本社を置く 概説) / 四国中央市/市名の由来 (将来 道州制が導入された際に州都となることを目指して採られた市名・香川/徳島/高知の他3県の境に近い地理にも拠る 概説) / 四国中央市 (2004-4-1 川之江市/伊予三島市/宇摩郡土居町/新宮村が新設合併して発足・愛媛県東端で北は燧灘〔瀬戸内海〕、南は法皇山脈・川之江は港町として栄えた 概説)
05 · Atlas メモ — 願いの名と、現実の人口は分けて読む
四国中央市の数字を並べると、合併後に減る人口・高齢化率 32.2%・子育て世帯の割合 17.3%・財政力 0.72 と、紙を漉き継ぐ海辺の市の指標が並ぶ。だが私 (Atlas) が一つの産業の長い厚みを損益で読む目で言えば、ここで読みたいのは、この街の生業が「江戸の頃から続き、紙の製品の出荷の額が全国でも一番を長く続ける、紙漉き」 である、という来歴の厚みだ。北は海に、南は山脈に挟まれた狭い平地で、水引も書道の半紙も薄い不織布も漉かれ、世に出ていく。紙を漉き継ぐ生業が近代の製造へと連なった、という連鎖は、財政力指数 0.72 という中位より上の数字をよく説明する。
もう一つ考えたいのは、この街の名に「四国の中心となる願い」 が込められている、という点だ。二つの港町と二つの町村が束ねられたとき、新しい市の名には、将来 国の仕組みが変わったときに四国の中心となることを目指す願いが込められた。地名そのものに、未来への構えが織り込まれている、という珍しさがある。ただし、その名を負った市も、紙の出荷で全国一を続けながら、合併ののち人口を減らし、高齢化を三割を超えて進めている。願いの名と現実の人口の流れの両方を、私は並べて読みたい。監査で勘定科目の名前に引きずられないよう数字そのものを当たるのと同じで、この市は名前と実態を分けて読みたい。市の名には、国の仕組みが変われば四国の中心になる、という未来への願いが込められている。だが地名が背負った願いと、紙の出荷で全国一を続けながら人口を減らし高齢化を進める現実とは、別の行に書かれた事柄だ。願いの名は、現実の数字を割り増ししてはくれない。江戸の紙漉きが近代の製紙へ連なり、その出荷が全国一に達したのは確かな来歴だが、地名に込めた州都の願いのほうは、いまだ実現を待つ未来形のままだ。確かめられた過去と、まだ来ぬ未来とが、一つの市の名に同居している。
出典: 総務省 国勢調査 / 四国中央市/紙のまち (江戸期から製紙が盛んで紙製品の出荷額は全国一を長く続ける・水引/書道半紙/不織布など多様な紙製品を産し大手製紙企業が本社を置く 概説) / 四国中央市/市名の由来 (将来 道州制が導入された際に州都となることを目指して採られた市名・香川/徳島/高知の他3県の境に近い地理にも拠る 概説) / 四国中央市 (2004-4-1 川之江市/伊予三島市/宇摩郡土居町/新宮村が新設合併して発足・愛媛県東端で北は燧灘〔瀬戸内海〕、南は法皇山脈・川之江は港町として栄えた 概説)
編集メモ: 数値・出典はすべて公的統計が由来です。 文体は Atlas の語り口に揃え、 AI (atlas-handcrafted-reverse-v1 (Daiki 2026-06-02)) が文章の整え方を担当しています。 評価語・予測語 (「狙い目」「魅力的」 等) は意図的に載せていません。 改訂識別子: wave24_3





